多くの物品を扱っている場合、管理システムの導入は業務を効率的にする有効な手段となります。そこで今回は成功する物品管理システムの選び方を紹介します。ぜひご活用ください。
物品管理システム
物品についている識別情報を利用して、保管している場所や物品の状態を整理するシステムです。医療関係の職場や工場といった管理対象のものが多くなるところで利用されます。物品管理システムは在庫情報や台帳のほか、棚卸といった業務効率を上げる機能が豊富に備わっています。
また、登録した品の検索や情報の即時反映といった機能があり、能率的に管理することが可能です。
効率的な運用が可能
物品管理システムは、自作の表よりも効率的に物品が管理できます。企業では、コストを下げるために社員が表を作成して運用するケースも多く見られます。管理するIDを割り振り、カテゴリー・担当者・場所・日付を表に設けて、書き込んでいく方法です。
しかし、この方法には複数の問題点があります。まず、管理するための手段や方法をまとめるのに労力がかかり、現場を圧迫するでしょう。
次に、データの管理に労力がかかります。物品情報が変わってもデータに反映するのに時間がかかり、精度が高い管理とはいえません。
また、棚卸では情報を人力で照らし合わせるため、エラーが起きやすくなるのです。
物品管理システムを導入すれば、これらの問題が解決します。棚卸機能を使えば確認作業をサポートしてくれるため、エラーが減るでしょう。
カバー範囲が広い
物品管理システムはカバー範囲が広いのが特徴です。棚卸業務を例にします。棚卸にはデータから計算する帳簿棚卸と現物を実際に確認する実地棚卸があります。
帳簿棚卸は物品が保管場所を出入りする際に記録する方法です。都度記録すると考えてください。実地棚卸は人の手で確認する作業になるため、とても時間がかかります。
また、一般的な経理業務ソフトウェアは実地棚卸の業務をサポートしていません。
物品管理システムを導入すれば、物品の場所や情報を管理できます。サポート範囲が広いシステムといえるでしょう。
費用の削減
物品管理システムは、不要な費用の削減に有効です。管理をシステムに任せることで、在庫数の間違いや発注ミスが発生しません。無駄な失費がなくなるのです。また、どこにあるのか記録されるため、物品を勝手に持ち出したり、なくしたり、盗まれたりといったことが起こりにくくなります。
このように、管理システムを導入すると、会社にある品の数を正確に把握でき、私物化や盗難といった問題が発生しない環境になるのです。
こうしたトラブルを防止できるシステムといえるでしょう。
情報が共有される
物品管理システムは情報を誰が見ても理解しやすい状態にしてくれます。担当している人や部署、期間も明確にデータ化されます。また、品を管理している担当者や部署に直接状況を確認する必要がありません。管理を担当している人たちの業務を妨げず、確認する側の手間も減らせるのです。
導入すれば、確認したい情報にアクセスできるため、業務の効率が向上するでしょう。
管理システムの種類
物品管理システムには種類があります。品の情報を読み取る方法で区別されているようです。具体的には、識別するためのラベルを貼り付けて運用するバーコードタイプと、電波によってデータを取得する電波識別タイプがあります。
それぞれ適しているケースが異なるため、よく確認して導入を決めるといいでしょう。
バーコードによる識別
バーコードを読み込んで品を識別する方法です。スマートフォンに備わっているカメラで登録できるため、機器の導入コストが下がります。しかし、物品ごとにバーコードを発行して貼り付ける作業があることに注意してください。
バーコードによる識別は、小売業や広告、出版といった扱う品の数が少ない業界で導入されている方法です。登録数は約1,200点が多いようです。
管理対象の数が少ない企業が利用しています。
電波による識別
電波に反応するタグを利用して識別する方法です。品に触れる必要がないため、短時間で大量の情報を読み取れます。また、倉庫の出入口に読み取り装置を設置すれば、通るだけでスキャンが可能です。導入コストはかかりますが、物品の数が多い企業では飛躍的な効率化が可能になるでしょう。
電波による識別は、警察や学校といったところで利用されています。
物品管理システムの選び方
管理システムの選び方には、いくつかのポイントがあります。システムの提供方法は重要です。自社提供と他社提供では特徴が異なります。また、管理したいものをリストアップしておくと適切なサービスを選択できるでしょう。
現在別のシステムを使っているなら互換性も確かめる必要があります。導入するときは予期せぬ作業が発生する場合もあるため、現場への配慮も欠かせません。
これらを考えれば、適切な管理システムを選べるはずです。
システムの運用形式
システムは2つの方法で利用できます。自社でシステムを運用する方法と、クラウドによる運用です。自社で運用する場合は、導入コストが高い特徴がありますが、会社のシステムに合わせて機能の拡張がしやすい方法です。自社が欲している管理方法を実現しやすいといえます。
クラウドは費用を抑えられる方法です。導入する際のハードルも低いため迅速にサービスを利用できます。豊富な端末に対応しているものを選べば、離れた場所でも業務ができるため、効率的です。
管理・運用方法
管理・運用方法も選択する重要なポイントです。効果を十分に得るには、管理したいものに対応したシステムを導入する必要があります。たとえば、多くの企業や機関で書類の管理は必須です。重要書類を原本で保存し、従業員に共有しておくべき書類を電子化して管理したい場合、その方法に合ったシステムを選ぶといいでしょう。
また、管理システムは多くの種類・数を登録し管理できますが、適用するものを増やしすぎてしまうと管理が大変になります。
システムに品を登録する前に精査してください。効率化を図るには、システムの導入はもちろん、運用する際の工夫も必要になります。
システムの互換性
システムの互換性も確認しておくといいでしょう。互換性がない場合、システム内に登録された情報を確認する必要があり、データ移行を担当する人にとって大きな労力となります。互換性があれば、移行作業もスムーズに済むため時間の削減になり、エラーの心配も少ないでしょう。
また、連動性も重要です。書類作成や資金管理といった、別のシステムと登録データを共有できれば、効率的に管理できるものが増えていきます。
このように、現在利用しているシステムと互換性があるのか確認することは重要です。拡張性まで確認できれば、管理できる幅が広がるでしょう。
現場への負担
システムを使いこなすレベルも正確に把握しておく必要があります。物品管理システムは会社内の情報伝達を円滑にするものです。システムが利益を直接生み出すことはありません。また、バーコードタイプを導入した場合は管理対象の物品すべてにラベルを貼り付ける作業が必要になります。一時的ですが、負担が多くなるのです。
システムを導入する場合は、最終的に管理担当者の業務負担を軽減できるのか、検討する必要があるでしょう。